いつか会える日

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御珠印ガール

御珠印帖

 この寺では、「御珠印ガール」と呼ばれる若い女性のグループにはあまりお目にかかりませんが、それでもこの数年、七福神めぐりもかねて御珠印帖を持ってお参りに来られる方がずいぶん増えてきました。
 御珠印帖は神社仏閣などの参詣の記念に、その寺社の名やお祀りしてある神仏の名を書いていただき、そこに珠印を押してもらうものですが、それとは別に、日蓮宗の寺院だけを巡って御首題(お題目)を書いていただく御首題帖があります。先日は島根県からこの御首題帖を持ってお参りに来られた年配のご夫婦がいらっしゃいました。きっと大切な願いをこめて全国の日蓮宗寺院を巡っておられるのでしょう。
 七福神詣でで賑わうお正月など、受付で何冊かお預かりした御珠印帖の中に、時折り御首題帖がまぎれこんでいる時がありますから、どこを廻って来られたかを必ず確認して、いろいろな寺社を廻って来られたものには、この寺でお祀りしている恵比寿さまの名か或いは「妙法」の二文字を書いて差し上げ、全部お題目が書かれているものには一層気を引き締めて「南無妙法蓮華経」の七字を書かせていただきます。
 御珠印ガールといえば、ある有名な神社では彼女たちのあまりの無作法ぶりに、ついに御珠印の受付をやめてしまったそうです。書いて渡した途端、ワーッ、さっきのところの方がかっこいい! 上手だわ! などと騒ぐらしいのです。
 神社と寺院では、その境内からして雰囲気が異なりますし、寺院もその寺々で感じられるものが一様ではありません。それはどの寺のたたずまいにも、その寺の歴史やこれまでの住職の願いが自然に滲み出ているからで、実際にそこに立って肌でそれを感じてみるのが寺めぐりの、ほんとうのご利益ではないでしょうか。世話人の伊東宏さんの御首題帖は何冊目ぐらいになるのでしょうか。夜それを開いて見ていると、その時々のことが鮮明に思い出されて厭きることがないと言います。御首題帖も真面目発揮ということなのでしょう。

(ようげん寺報 2015年2月15日発行 第10巻 第1号掲載)
御珠印帖
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