…がくれた、幸せ
三姉妹
文・秋津良晴 絵・中山成子
 

 男性の読者のみなさん、女性とは良好な関係が作れていますか? 今回はそんな話です。受験生時代の友人は男兄弟で育ったと言っていました。その彼に好きな女性ができて、毎日のように、どんな風に話しかけたらよいかとか、どんな話をしたらよいかなどと相談されました。どうやら、女性とは普通に付き合えないようなのです。
 私は6人兄弟の末っ子です。男3人、女3人の兄弟ですが、二人の兄は早くに亡くなっていて、ほとんど3人の姉に育てられたようなものです。そんな育ちの私ですから、女性に話しかけるのも、男性に話しかけるのも特別な感情はありませんでした。友人から相談されて、ようやく、女性ばかりの環境で育った

自分が、友人とはかなり違った感覚を身につけていることを知りました。
 最近、少子化という問題もあり、「女性を使える会社は伸びる」とか「女性活躍支援」とかが話題に上がっていますが、女性を使えば会社が伸びるというのは短絡的かと思えます。要は異性の感覚を併せ持ったセンスが、会社を伸ばしたり安定させる力になるのだと思います。クリエイターや音楽家で成功した人などにはそんな感覚の持ち主が多いと聞いた事があります。
 私は、上の姉にはほめて育てられ、中の姉には経済的な面倒を見てもらい、下の姉には「絵の世界」へ誘ってもらいました。職場にも女性が多いです。振り返ってみると私は女性のおかげでここまでやってこれたようなものだと思います。男の三兄弟だったら今の私がいたかどうか…。女性には「育む」不思議な力があるのです。
 気づくと恩師には三人のお子さんがいらして「三姉妹」です。この業界の仕事を教えてくれた編集長も三人のお子さんがいらして「三姉妹」。このお二人の職場は女性が多く、女性が活躍できる職場を作られていました。呑み屋をやっている友人の子どもも三姉妹。極めつけが、そうして育った私にも子どもが三人いますが「三姉妹」です。ここまで女性に囲まれると「効果」を喜んでばかりもいられない心境です。

(ようげん寺報 2014年10月15日発行 第9巻 第5号掲載)
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