


「迷い」は囚われから生じます。進路などを決断する時、親は「よく考えろ」と言います。しかし、先が見える人はいないのだから、考えたところで正しい答えは出ません。それでも考える。そして時間だけが過ぎてしまって、成り行きで決まってしまいます。無駄な時間を貪っただけなのです。不安は残ったままなのです。
迷った時は右も左もリスクは一つと思い決めて、一方を「捨てる」しかありません。あれこれ抱え込んでいるモノを捨てなければ何も始まらない。ボクの場合のそれは「カメラ」だったのです。プロになる気で揃えて来た機材を捨てることは忍びがたいことでした。編集やデザインに転職しても、成功するとは、誰も約束してくれていません。「捨てる」とは、カメラを持っていたいと言う「欲」を断つことであり、先行きの「生活の不安」と闘うことだったのです。ふと、思いました。選ぶ時に大事なことは「考えて先(結果)を見通そうとする事」ではなく、決めてしまって「結果を良くする決意」だと。そして、「そこから(何もないところ)始まる」と覚悟する事だと。ボクは腹を据え、デザインへの道を目指したのでした。
(ようげん寺報 2017年8月15日発行 第12巻 第4号掲載)
