…がくれた、幸せ
勤労感謝の日
文・秋津良晴 絵・中山成子
 
 勤労感謝の日は「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」事を趣旨として設けられたとあります。小学校の頃、先生が勤労感謝の日を前に、「働ける事に感謝しよう」と教えてくれました。子供のボクには意味が分かりませんでした。
 最近、「ブラック」だの「ブラック企業」だの、労働を無理強いする会社が問題になっています。加えて、お国は経済効果を目論んで祭日を増やしています。確かに、日本国民は働きすぎだと言われていますから休日が増えるのはいいことでしょうが、問題は、「人間は得てして怠け者」だという事です。果たして、「働きすぎ」だと、一辺倒に言い切っていいものでしょうか? 怠け者は便乗して更に働かなくなるのは目に見えています。
 ボクは性来が怠け者です。丑年生まれなので「こって牛」などと呼ばれていました。そのボクが、少しは寝たらと言われるほどに働
くようになったのにはどんな理由があったのかを考えた事があります。最初は好きな仕事をしているからではないかと思いました。会社勤めをしていた時も、よく働くという評判でしたが、やはり休日が待ち遠しかった。一週間で言えば土曜日が一番ワクワクしていました。ゴールデンウィークや年末になると気持ちが騒ついていたものです。休日がそれほど嬉しくなくなったのは独立してからでした。世間が休むとなると仕事が入らなくなる。入らなくなればお金も入らなくなる。大型連休や正月休みの後のは生活が苦しくなったものです。だから、休日が怖くなりました。それと、自分で作った仕事、獲得した仕事は格別です。イメージが具体的で、相手の顔が見えて、作るのに励みになるから、休もうにも休めません。仕事が楽しくなるのです。秋津良晴25歳。その時期にさしかかっていました。それから40年、さして目立った力もないのに何とか生きてこれました。そして今、年金生活者となってもわずかだけれど仕事があります。働ける事に感謝する毎日です。
(ようげん寺報 2018年2月15日発行 第13巻 第1号掲載)
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