いつか会える日

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「光遊会」由来

 おかげさまで住職の交替式は無事終えることができましたが、それに伴う用事がしばらく山積していますので、あと数回はこれまで通りの形で寺報を出させていただきます。
 養源寺の万灯講である「光遊会」については、これまでも幾度か紹介させていただきましたが、誕生したのは平成七年、阪神淡路大震災の起きた年でした。その前年から復興事業が始まったばかりの境内には掘り起こされた土が小山のように積まれ、まさに工事現場そのものでしたが、そうした中で被災地支援のためのバザーが行われたのを皮切りに、花まつりや盆踊りが行われるようになり、こうした動きの中から万灯講も生まれました。
 万灯講といっても万灯も纏もない、鉦と太鼓だけの講でしたが、平成十二年に地元の堤方結社から纏が寄贈され、平成十四年同じく堤方結社有志の協力で万灯が完成、多くの講中と共に本門寺へ登詣できるようになりました。その後、独立した講中としての名称をということで平成十九年に相談の結果「光遊会」と決まりました。
 「光」は仏さまの智慧と慈悲の象徴です。「遊」は「遊学」「遊行」というように机の上ではなく、その足で歩き、行動しながら学ぶ、身につけていくということですが、実はこの名前、「光」の字はなんとなく皆の気持の中で決まっていたようでした。と言いますのは、万灯がお参りに来てくれることを、何よりも楽しみにしていた先々代光佑上人のことを皆さんがよく知っていてくださったからで、寄贈された纏の頭にはすでに「光」の字が象られていたからです。ですからこの名前には、光佑上人と遊ぶ会といったニュアンスも含まれていることになります。
 学校でも職場でも家庭でもない、寺という空間を舞台にして、巾広い年令層の人々がさまざまな活動を通して親睦を深めていく、こうした会が担う課題は今後多くなると思われ、活躍がたのしみです。「光遊会」には、どなたでもご参加いただけます。

(ようげん寺報 2018年10月15日発行 第13巻 第5号掲載)
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